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「先入れ先出し」という言葉をご存じでしょうか?
言葉の通り、先に来たものを先に出すという意味ですが、あまり馴染みがない方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、製造現場、物流倉庫、食品工場などでは効率化と品質を維持するために大切な考えになります。
今回は、先入れ先出しのメリット・デメリットと、事例を含めてご紹介したいと思います。
物流倉庫を例として挙げると、商品を出荷する際に先に入庫したものから順に出庫する管理方法になります。
英語では “FIFO” (First in , First Out)と言われます。
メリットとして、代表例が3つ挙げられます。
商品の品質を保つことができる
古い商品から先に販売することで、品質や鮮度が落ちる度合いを最小限に抑えることができます。
「先入れ先出し」が徹底されていないと、棚の手前に並べた新しい商品から順番に出庫してしまい、古い商品が倉庫の奥の方へ入り込んだまま所在が分からなくなってしまう可能性があります。
また、販売期限の超過や品質の劣化によって商品として成り立たなくなった在庫は廃棄せざるを得ず、販売機会の喪失や処理費用の増大に繋がります。
在庫の管理が簡単になる
「先入れ先出し」のルールを遂行するには、在庫の保管場所をしっかりと整理しなければいけません。
つまり、先入れ先出しは「商品の在庫数を正しく把握する」ことができます。
そのため棚卸しの労力がぐっと抑えられ、人件費の削減やミスの発生しにくいオペレーションに繋がります。
出荷までの時間が短縮できる
日付が古いものから出荷するオペレーションが規定されている場合、出荷しなければならない商品が棚の奥に保管されていると、出荷のたびに手前にある商品を一度取り出す作業が生じます。
これではピッキングに時間がかかってしまい、効率的ではありません。
先入れ先出しを徹底することで、古い商品を常に棚の手前に保管している状態を保つことができ、出荷すべき商品を取り出しやすくなって、出荷までの時間短縮が可能になります。
<参考>
上記の例のように、台車に積んで管理すると、奥側の荷物を取る手間が増えてしまいます。
ローラー付きの傾斜ラックにすることで、荷物を手前に出すことができるため、荷物を古い順に並べることが可能になります。
原料保管シューター
・使いかけの原料も傾斜付きのラックで安全に管理
・クリフォームプラコンで先入れ先出しの徹底が
でき、立体的に管理して省スペース化が可能
・直置き防止ができ、床面の清掃も容易
※反対に生鮮食品市場では賞味期限が短く鮮度や高い品質を求められるため、新しいものは手前に出す「先入れ後出し」のケースもあります。
先入れ先出しを部分的にだけ実施してしまうと、前後の工程が上手くいかずデメリットになる場合があります。
管理するデータの増加
商品名や商品番号だけでなく、製造日や使用期限などのロット情報を詳細に管理する必要があります。
商品管理の手間が増える傾向にあるため、オペレーションが最適化されていないと作業効率が低下するおそれがあります。
作業の工数の増加
例えば商品を一度に大量に仕入れた場合、賞味期限が違っていると、確認しながら順番に並べなければならず、作業する側に負担が生じます。
そのため、オペレーションが最適化されていないと作業効率が低下するおそれがあります。
入荷量と保管スペースのバランスが取れていない場合は、保管場所の工数が増えるため、効果をチェックする必要があります。
先入れ先出しによる在庫管理を実践できないと「最近仕入れた商品を出荷したら、実は賞味期限が切れそうな古い商品在庫が残っていた」という失敗に繋がります。
商品の品質維持、棚卸作業の効率化のため、先入れ先出しを社内に浸透させることが重要です。
そのためには、
・仕分けルール決め
・作業マニュアルの作成
・保管方法の工夫(棚だけでなく、パレット、台車管理など)
等の作業者のミスを防ぐ環境づくりが必要となります。
実際に先入れ先出しを徹底しようとすると、商品の入荷日や賞味期限など多数のデータを管理して、正確に入出庫作業をしなければなりません。
抜かりなく先入れ先出しを実施するには、在庫管理システムの導入やアウトソーシングを導入することも検討し、最適な管理スタイルを探す必要があります。
いかがでしたでしょうか?
先入れ先出しをするためには、ルール決めだけでなく、商品を管理・保管する器材も必要になってきます。
現場改善を行う際はぜひ、弊社にお問合わせください。
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